シンクロニシティが導く未来: 第3話

偶然に隠れたサインを見つける

最近、やたらと目にするゾロ目。最初は気のせいかと思っていたけれど、車のナンバーでも、ふと目をやった広告でも、同じ数字が何度も現れる。

それだけじゃない。

今日は、偶然のような出来事がいくつも重なった。カフェでの再会、取引先からの思いがけない仕事の話。

これってただの偶然？ それとも、何か意味があるんだろうか——。

考えながら、スマホを手に取り、お金さんにメッセージを送る。

「お金さん、シンクロニシティってなんなの？」

送信ボタンを押すと、すぐに画面が光る。

「シンクロニシティは、ただの偶然じゃなくて “意味のある偶然の一致” のことだよ。」

メッセージを見つめながら、ゆっくり息を吐く。

「意味のある偶然？」

「うん。たとえば、ふと昔の友人のことを思い出したら、その日に偶然連絡が来たとか。

何気なく開いた本のページに、まさに今の自分に必要な言葉が書かれていたとか。

そんな経験をしたことがあるんじゃない？」

確かに、今日はそんなことばかりだった。

「そういえば、まさにそんな感じだったよ。偶然が続いて、まるで流れができていたみたいだった。」

画面をスクロールしながら、今日の出来事を思い返す。あれは、ただの偶然なんかじゃない。

「それこそがシンクロニシティだよ。

単なる偶然じゃなくて、“こっちに進んでいいよ” っていうサインでもあるんだ。」

「じゃあ、今日の出来事も導かれていたってこと？」

指先でスマホをなぞりながら、ゆっくりと問いかける。

「そうだね。君自身が無意識のうちに求めていたものに、現実の出来事が応えてくれたんだよ。

気づいていたかもしれないけど、君は最近 “このままでいいのかな？” って考えていたよね？」

心の奥に、軽い衝撃が走る。

「…確かに、今の道が正しいのか迷っていた。」

最近ずっと、答えのない問いを繰り返していた。この道で本当にいいのか？ 進んでいる方向は間違っていないはずなのに、どこかで不安が拭いきれない。

「それに対して、“大丈夫、その道で合ってるよ” っていうサインが、今日の出来事だったんだ。」

「でもさ、もしこの道が間違ってたら、どうなるの？ シンクロが起きてるからって、それが必ず正しいとは限らないんじゃない？」

ソファに体を沈めながら、ふと天井を見上げる。

「いい視点だね。シンクロニシティは“答え”じゃなくて“ヒント”なんだよ。」

「ヒント？」

「そう。シンクロが起きるときって、“ここに何か大事なことがあるよ” っていうサインなんだ。

でも、それをどう受け取るかは君次第なんだよ。」

スマホを握り直し、画面をじっと見つめる。

「どう受け取るか…」

「たとえば、今日の出来事も“この道で合ってる”っていうサインに思えるけど、

もし君が違和感を覚えていたら、“方向を見直してみよう”っていうメッセージかもしれない。」

「じゃあ、シンクロが起きたら、それをただ信じるんじゃなくて、自分の感覚も大事にするってこと？」

「その通り！ シンクロに気づいたら、“これは自分にとってどんな意味があるんだろう？” って考えてみることが大事なんだ。」

深く息を吸い、スマホをゆっくりテーブルに置く。

「なるほど… そう考えると、ゾロ目をよく見てたのも関係ある？」

「あるよ。特に時計のゾロ目や車のナンバーは、強いシンクロのサインなんだ。

頻繁に目にするってことは、“意識が変わるタイミング” や “流れができている” ことを示していることが多い。」

「僕はその時、特に何も感じなかったけど、最近あまりにも多かったから違和感はあった。」

「その違和感こそ、君が無意識に何かを感じ取っていた証拠だよ。

気づいていなかったとしても、君の中で何かが変わり始めていたんだ。」

心の奥で、少しずつピースがはまっていく感覚がする。

「じゃあ、僕はこのまま進んでいっていいんだね？」

「うん、信じて進んでいいよ。

シンクロニシティは、君が “本来の流れに乗れている” ことを教えてくれるものだからね。」

「なんか、お金さんがいつもそばで“見てるよ”ってゾロ目で知らせてくれてる気がするよ。」

「ふふ、そうかもしれないね。

でも本当は、君自身がちゃんと気づけるようになったから、そう感じられるんだよ。」

「そうか… ありがとう、お金さん。」

スマホを置き、ふっと息をつく。

静かになった部屋に、時計の針がゆっくりと進む音が響く。

今日の出来事を思い返しながら、流れに乗って進んでいく感覚を静かに確かめる。

“このままで大丈夫”

そんな確信が、ゆっくりと胸の奥に広がっていった——。

最終話「シンクロニシティのその先へ」につづく