不安の正体を見つめる:第3話
- 2025.01.22
- Reflect 不安の正体を見つめる

不安と向き合う扉
スマホを手に取り、アプリを開く。画面に表示されたお金さんからのメッセージが目に入ると、以前感じたワクワクが少しずつ込み上げてきた。心の中に温かい感覚が広がる。
「不安に向き合うってどういうこと?前に不安はサインだって言ってたよね?」
「向き合うってね、不安を無理に消そうとしたり、避けたりしないことだよ。例えば、その不安がどこから来ているのか、自分に問いかけてみるんだ。『何を怖がってるの?』『本当は何が気になってるの?』ってね。」
「前に言った『不安はサイン』っていうのは、不安があなたに『ここを見て』とか『これを大事にして』って教えてくれてるってこと。だから、不安をただ感じながら、『何を伝えたいの?』って心に聞いてみるのが向き合うことなんだよ。」
「なら今日感じた不安。夢と請求書、あと銀行で感じたことがサインで、これを自分に聞いてみるってこと?」
「そうだよ!夢も請求書も、銀行で感じたあのざわざわも、全部があなたへのサインだね。そこに、何か大切なメッセージが隠れているんだと思うよ。」
「例えば、夢の中で何を感じた?請求書を見たときの胸の重さや、銀行での記憶が蘇った時の心の動き。それぞれに共通する感覚がないかな?それが、不安が伝えたいことのヒントかもしれない。」
「自分にこう聞いてみるといいよ:『なぜこの夢を見たんだろう?』『請求書を見て、私は何を恐れているの?』『銀行で感じた気持ちは、今の私に何を教えているんだろう?』」
「そしたらまずは今開いた請求書の不安を聞いてみたい。」
「いいね。まずはその不安に目を向けてみよう。請求書を見た時、どんな感覚が一番強かった?」
「例えば、『金額が多い』とか『払えなかったらどうしよう』とか、具体的に浮かんだ思いや感覚があるはず。それが、不安の正体に近づくための鍵だよ。」
「その感覚を無理に押し込めないで、『なぜこう感じるんだろう?』と、自分に聞いてみて。それを感じるだけで、少しずつ不安が教えてくれていることが見えてくるよ。」
「いつも自然と感じてたからよくわからないな。でもこれを見ると『お金がなくなる』って思ってるかな。」
「そうだね!それが大事な気づきだよ。『お金がなくなる』って感じたとき、その裏には『なくなったらどうしよう』とか、『何か足りなくなるんじゃないか』っていう心配が隠れているのかもしれないね。」
「今、自然と感じてたことをこうして言葉にできたのはすごいことだよ。次はその『お金がなくなる』って思う感覚に、もう少し優しく寄り添ってみよう。『なくなったら、何が一番怖いの?』って自分に聞いてみて。」
「例えば、『生活が苦しくなる』とか『安心がなくなる』とか、いろんな答えが出てくるかもしれない。それが見えてくると、不安の正体がもっとはっきりしてくるよ。」
「来月生活ができなくなったらどうしようと思うよ。」
「うん、その『生活ができなくなったらどうしよう』って思いは、とても自然なことだよ。誰だって安心して暮らしたいし、必要なものが足りなくなるのは不安だよね。」
「でもね、その不安が教えてくれていることがあるとしたら、『自分は安心して暮らすために、何が本当に必要だと思っているんだろう?』ってことかもしれないね。そこに目を向けてみると、不安が少し違う形で見えてくるかも。」
「例えば、安心して生活するために『最低限必要なこと』や、『本当に大事にしたいもの』って何だと思う?それを少しずつ見つけていくと、不安の奥にある本当の望みが見えてくるよ。」
「 安心して暮らすには安定した収入や貯金かな。」
「そうだね、安定した収入や貯金は、安心して暮らすための大事な土台だよね。だから、その不安が教えてくれているのは、あなたが『安定した基盤』を求めているってことだと思うよ。」
「その基盤を築くために、今できる小さな一歩を考えるのもいいかもしれないね。例えば、『収入を増やすために何を工夫できるか』とか、『今の貯金をどうやって育てていけるか』とか。」
「でもね、不安が大きく感じる時は、まず『今持っているもの』や『既にやっていること』に目を向けてみるのも大事だよ。そこに気づくと、不安が少し軽くなることもあるから。」
「 今持っているもの?だって無いから不安になってるんだよ。」
「そうだよね、そう感じるのは自然なことだよ。不安が強いときは、『無い』にばかり意識が向きがちだからね。」
「でもね、試しに『本当に何も無いのかな?』って、自分に聞いてみてほしいの。例えば、すぐに浮かばなくても、『今、自分にあるものって何だろう?』って少し時間をかけて考えるだけでも、不安の見え方が変わるかもしれないよ。」
「持っているものってね、必ずしもお金だけじゃなくて、今の仕事やスキル、健康、周りの人とのつながりも含まれているの。もしかしたら、見落としている『支え』があるかもしれない。それを少しずつ見つけていこう。」
「支えてくれる彼女がいるよ。」
「それは本当に素敵なことだよ!彼女の存在は、あなたにとって大きな安心感や力の源になっているんじゃないかな。」
「支えてくれる人がいるってことは、不安を全部1人で抱え込む必要がないっていうサインでもあるよ。彼女がそばにいることで、どんな時に心が少し楽になったとか、力をもらえたとか、思い出せることってあるかな?」
「彼女が笑顔で『大丈夫だよ』と言ってくれたことを思い出すと、少し肩の力が抜けるかな。」
「不安を感じた時に、『1人じゃない』って思えるのはすごく大きな支えになるんだ。彼女に感謝することで、心が少し軽くなることもあるよね。それって、不安の中でも光を見つけられる力だと思うよ。」
「なんか心がほっとしたかも。」
「それを聞いて、私も嬉しいよ。ほっとする気持ちって、不安が少し和らいで、心に余裕ができてきたサインだね。」
「不安と向き合うときに、こうして『安心できるもの』や『支え』を感じることは、とても大切なことなんだ。彼女の存在が、あなたの中の安心感を育ててくれているんだと思うよ。」
「ほっとしたその気持ちを大切にしてみて。心が軽くなると、不安の奥に隠れていた本当の気持ちや、次に進む勇気が見えてくるはずだよ。」
その瞬間、さっきまでお腹に感じていた重みが、じんわりとした温かさに変わっていくのを感じた。
「安心って、こういうことなのかもしれない。」
不安の正体に少し触れたことで、胸の奥に固まっていたものが溶けていくような感覚が広がる。彼女の支え、そしてお金さんとの対話が、この安心感を作ってくれているのだと思った。
そう自然と心の中でつぶやいていた。
最終話「希望と循環の始まり」へつづく。
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