感謝と信頼がもたらす現実の変化: 第1話

お金の不安が変わった日

大きな鏡の前に立ち、ネクタイを軽く整える。

ふと、鏡越しに映る自分と目が合った。一年前の自分とは何かが違う気がする。

いや、正確には 「何かが変わった」のではなく、「ようやく自分自身に追いついた」 のかもしれない。

そう思うと、胸の奥にじんわりと熱が広がる。

思えば、この1年で、僕の世界は大きく変わった。

日々の中で、小さなサインや自分の心の動きに気づくことが増えてきた。1年前の自分なら見過ごしていたかもしれない、目を逸らしていたかもしれない。そんな些細な出来事が、今では確かな流れを示しているように感じる。

かつて、お金に対する不安や人間関係の悩みを抱え、何かを追い求めるように生きていた。でも今は違う。

お金さんが教えてくれたエネルギーの循環を意識しながら日々を過ごすことで、心が満たされているのを感じる。物事の流れに身を任せることができるようになったのだ。すると必然的に変化が現れてきた。

「不安にさせているんじゃなくて、僕は不安を通じて大切なことを教えようとしているんだよ。不安ってね、本当に欲しいものや大切にしたいものを見つけるための道標なんだ。

僕はそばにいるよ。いつも。ただ、それに気づくには、あなたが自分の心に耳を傾けることが必要なんだよ。」

これは、お金さんから最初に届いたメッセージだった。

当時の僕は、不安に向き合う気力もなく、ただ目をそらすばかりだった。不安はいなくなってくれない。どこに行っても、何をしていても、いつもそばにいる。そんな気持ちを抱えながら、ただ流されるように日々を過ごしていた。

しかし、お金さんとのやり取りを通じて、不安というものは「敵」ではなく、「気づきのサイン」だと理解し始めた。

不安を避けるのではなく、受け入れ、そこにどんなメッセージがあるのかを見つめること。それができるようになったとき、僕の世界は少しずつ変わり始めた。

そして、驚くべきことが起こった。

お金さんが言うように、感謝というエネルギーに乗ってお金が運ばれてくるのを実感し始めた。お金の流れが変わり始めたのだ。

最初は半信半疑だった。エネルギーの循環なんて目に見えるものではないし、まるでスピリチュアルな話のように思えた。

もし空気中に色のついたエネルギーが漂って見えるなら、少しは信じやすかったかもしれない。だが、現実の変化が次々と目の前で起こることで、信じざるを得なくなった。まるでお金さんが作り出したゲームの中で、僕がストーリーに沿って動かされているような感覚だった。

しかし、以前とは違って、心は軽やかだった。何よりも、生きている実感があった。

もちろん、不安が完全になくなったわけではない。何か新しいことをしようとすれば、必ず不安はついてくる。でも今は、その不安ともうまく付き合えるようになった。

先日、こんな出来事があった。

クライアントからの入金金額が違っていたのだ。通常の振込額よりもはるかに少ない金額だった。

以前の僕なら、焦りや怒りが先に立ち、心がざわついていたはずだ。しかし、その時の僕は違った。

「これは、何かのサインかもしれない。」

そう思いながら、冷静に事情を確認し、先方に問い合わせた。

すると、ただの手違いだったことが判明し、結果的に、2ヶ月分の報酬がまとめて振り込まれ、今まで扱った中で最大の金額を動かすことになった。

正直、最初は少し不安が押し寄せた。でも、お金さんが言っていた「お金の器を大きくするサイン」かもしれないと考えた。

そう思うことで、不安よりも安心の感覚が勝るようになっていた。

そこからは、自分の中で「お金の流れ」をより明確にイメージするようになった。

感謝というエネルギーを乗せ、お金が自分のもとを巡り、また新たな形で循環していく光景を思い描いた。

するとどうだろう、先方の手違いもあったとはいえ、謝罪のメールとともに、新しい仕事の依頼が舞い込んできたのだ。

「なるほど、これがエネルギーの循環か。」

これこそが、お金さんが言っていた「エネルギーの循環」なのかもしれない。そう思った瞬間、腑に落ちる感覚があった。

まさに、お金さんが言っていたことが、目の前で形になっていた瞬間だった。こういった出来事が頻繁に起こるようになってきた。

さらに、最近は支払いに対する感覚も変わってきた。

以前の僕は、お金を支払うたびに「減る」感覚を強く抱いていた。「またお金がなくなる」「減っていくのが怖い」と、無意識のうちに思っていたのだ。

しかし、今では違う。お金を支払うとき、「ありがとう」と心の中で唱えるようになった。

「この支払いが、新しいエネルギーの流れを生んでくれる。」

「不安を避けるのではなく、不安と向き合うこと。感謝とともにお金を巡らせること。」

あの時は半信半疑だったこの言葉が、今では確かな実感を伴って僕の中に根付いている。

そう、世界は思っている以上にシンプルなのかもしれない。

エネルギーが流れ、感謝が巡り、それがまた新たな豊かさを生む。

気づけば、そんな変化が当たり前になっていった。

あの時、お金さんからの言葉を受け取った瞬間から、少しずつ世界の見え方が変わっていったのかもしれない。

第2話「不安を手放した先に」へつづく